Bitcoinを子供のために少し残しておくのはどうか。

BitcoinのSegwit2xを控えた関連通貨の値動きが激しさを増し、短期的には今後どういった動きをするのか予想が難しい日々。

このブログは基本的には最近の暗号通貨の流れに対して、批判的な記事を多く書こうと思っているけども、bitcointalk.org にちょっとしたスレッドがあって、いいなと思ったので紹介する。

子供の未来のためにBitcoinを残しておこう、という趣旨。Bitcoinが将来無価値になってもなかなか素敵な考えだなと思った。

毎月少しずつ積み立ててるよっていう書き込みもあった。きちんと考えている人たちもいるのだなぁ。

スレッド自体はその際に何を保管しておけばいいんだろうかという質問への回答なのだけど、自分もBitcoinがもしかすると未来では、不動産や有価証券などのように大切な資産になっているかもしれないという希望を、どこかに隠しておこうかな。

現実的な見方

  • 今はキャピタルゲイン課税もなく、仮想通貨の売却で得た利益は雑所得扱いなので、税金の繰り延べという観点でも仮想通貨のまま保持しておいた方が良さそう。(そのうち、株などと同じ扱いになることを期待。)
  • 20年後とかに全く無価値になったBitcoinがでてきても、それはそれで良い笑い話になりそう。

余談

アメリカでは、子供が成人になるまで現金化できない信託商品などがあって、節税になると聞いたことがある。日本だと学資保険の所得控除くらいしか無いのが残念だな。

ETFとかできちんと節税する仕組みができれば良いのに。iDeCoやNISAでは子供用って感じではないですね。ジュニアNISAが5年と言わず20年くらいまで使えればなぁ。

Monaco Coin(MCO)の価格が下落しているわけ

BTCが80万円を突破している一方で、直近の暴騰後の揺り戻しというわけでもないのに暴落しているトークンを見つけた。MCOというトークンで、Monacoという暗号通貨Visaデビットカードを使うと得られるERC20(イーサリアムトークンの1つ)準拠のトークン。

ICOで謳われた目玉機能が急遽取り消しに

MCOの売り(だった)の1つがAsset Contractというやつで、利用者がMonacoのカードで支払いをするたびに、利用額の1%がソフトウェア・ライセンス料として徴収されてMCOトークンの保持者に持分比率に応じて分配されるという仕組み。 Monacoカードの決済手数料が安いことと、対応アプリを通じたユーザ間送金手数料も銀行に比べて低く抑えられているため利用者が今後増えていくという見込みのもと、5年後にはこれが5億USドルになるだろうという触れ込みでICOを行い、MCOトークンは最低価格2.1USDで配布された。

現在、当時のMonacoのホワイトペーパーはアクセスできなくなってしまっているので、その頃のニュース記事へのリンクを貼っておく。

このMCO、10月末時点で大体5USD程度で推移していたのだけども、突如11月1日にMonacoのCEOが、法的かつビジネス上のリスクがあるためにAsset Contractの提供は取り消すという発表をおこなったために、一気に価格が暴落した。同時にVisaカードのプログラムについて発表があったため、一部では好材料か悪材料か判断がつかない人もいたようだ。

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チャートを見ると、おそらくVisaカードの発表直後(開発者向けイベントが行われていた)で一時的に高値をつけた後、真意が伝わって大暴落という感じに見える。

この下落をいくつかのWebメディアは伝えているけど、こういうのが続くと暗号通貨やICOへの信頼性が崩れて市場がなくなってしまうという危機感があるだろう。

今後、MCOはどうなるのか

急激な価格下落と、コミュニティでの批判殺到を受けて、Monacoの担当者がSlack上で以下のような投稿をしたとのこと。

Hi Everyone - we've gathered a lot of feedback from the community regarding the asset contract over the last 48 hours. We take all input very seriously - everything that the community views as of a matter of vital importance will be acted upon. As a result, we're discussing with our legal counsel a new smart contract design, which would allow us to deliver essentially the same value for token holders, but without any risk of MCO token being qualified as a security. Given that these matters involve a multi-jurisdiction legal review, please allow us to complete the work first, before we comment in more detail. We are committed to making sure that every issue raised by the community is addressed appropriately. Thread in #communityToday at 10:07 AM

引用元: https://bitcointalk.org/index.php?topic=1926269.msg23930289#msg23930289

要約すると、コミュニティからの意見は真剣に受け止めているし、MCOを保持している人にAsset Contractと同程度の価値を提供できるような新しい仕組みを法務と議論中。但し安全面に問題があるとみなされるようなリスクは一切負えない(ので、いい解決方法が見つからないかもしれないっていう意図かな)。

この内容を受けて、若干価格が戻っているようだが、果たして今後どうなるか。注視していく予定。

雑感

ICOはそもそも9割が失敗するなどと言われているけど、やはりリスクが高いなと感じた。大々的に宣伝されて、VISAのような大きなところと提携した投資アイデアが、たかだか数ヶ月で一方的に路線変更しても、利用者は法的に抗えないのだろうか。

詐欺的なICOや暗号通貨にいちいち反応してはいられないにせよ、こうした後からの仕様改悪についても、念頭においておく必要があるだろう。

MCOはMonacoの発行するVisaカードの利用者が増えれば、そこそこ流通する可能性はある。そのときに、Asset Contractと同様の価値が得られるようなら、価格を戻していくかもしれない。

仮想通貨と経済学に関する参考資料

経済学に興味はありつつもきちんと学ばなかったせいで、今の仮想通貨を科学的に捉える術を知らない。

そこで、主に自分用として今後のために、ネットで見つけた記事などを羅列しておく。一部は2013年とか2014年とかそういった頃の記事だから、とても古く感じるかもしれないけれど、基本的な部分での考え方は数年では変わらないだろうと思う。

リンクの下の箇条書きは自分のメモ。リンク先の学者がそう主張しているとは限らない。リンク、メモともに随時更新する可能性あり。

(注)記事の選択について、基準があるわけではないです。経済学者によるもっと良い資料があって、教えていただける場合は、適宜コメントなどで教えてください。

仮想通貨の価値

  • ビットコインの価値貯蔵はどうやって達成されるのか、自分もいまいちわからない。マイニングコストなどがビットコインの価値を産むんだって論法が、国内の著名な仮想通貨関連の人たちの主張しているとおりなのか、はなはだ怪しく感じている。
  • ビットコインが人々に錯覚させようとしているのは、これが新しい金(ゴールド、希少資源)なんだって部分なのかもしれない。だが、金本位制が崩れた今、それが一体なんだと言うのか。記事のように、金はそれで素敵なものを作ることができる。

暗号通貨 対 伝統的システム 齋藤哲哉(pdf)

www.businessinsider.jp

  • 正直、仮想通貨に熱心に取り組んでる人は、こうした批判を聞き飽きてるんだと思う。
  • ForbesやNYTに仮想通貨で億万長者になった人たちの話が何度も出てくる(批判的に)と、やはり今はバブルなんだろうなという感想を持つ。

仮想通貨の普及

  • 仮想通貨の利点として、国際取引の決済には従来の方法よりメリットがある。実際に、銀行間のやりとりでリップルが使われ始めているし、これはそうだろう。
  • 特定業種間の決済通貨というアイデアは中世の頃からあるようだけど、こういう用途に用いられる通貨の価格は割りと安定していたのではないだろうか。個人的にはこうした通貨は投機には向かないと考える。

通貨・仮想通貨の未来像 柳川 範之

  • 上の方で出てきた日銀カンファレンスでの東大教授の発表資料。結構かぶっているような気がする。
  • 法定通貨ハイパーインフレを起こしてるような国では通貨として使われる可能性がある。
  • 流通量のコントロールができない(ビットコインを指してる?)ので、通常の国では置き換わらないだろう。政府主導の仮想通貨という可能性はある。
  • 決済手段として使われる可能性がある。
  • ハイエクの『貨幣発行自由化論』に若干言及。複数通貨が流通していると、インフレ率に抑制系の影響を与えるなど。
    • この本、日本語だと1万円超えと高い。。原著Kindleだと300円くらい。安い。日本語が良い場合、『貨幣論集 (ハイエク全集 第2期) 』という5000円くらいの本にも収まっている様子。

amzn.asia

Bitcoin Goldの進捗が良くない

日本時間10月24日夜(当初10月25日夜9時頃。Bitcoinの生成ブロックが若干速いペースのため繰り上がった。)にBitcoin(以下、BTC)からハードフォークすると言われているBitcoin Gold(以下、BCG)だけど、その実装状況は芳しくないように見える。

BCGのソースコードと、開発者間のおもだったやりとりはGithub上で公開されていて、誰でも自由に閲覧が可能になっている。Githubというのは、ざっくりで解説すると、ソフトウェアのソースコードやドキュメントを公開し、課題について議論したり、あるいは世界中から開発者や改善案、実際の改善コードを募るために使われるサービス。

大抵の仮想通貨はここのサイトで探せば、どういう作りになっているのか、どういう(開発上の)課題を抱えているのかを見ることができる。

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(ちなみに、build failingとあるのは、不具合が無いか確認するためのテストコードと呼ばれる部分が、不具合を検知している状態。現在の最新版はまだ開発者の意図通りに仕上がっていないことを示す目安にもなる。あくまで目安。)

リプレイプロテクションが未実装

10月23日12時時点で、BTCと完全にブロックチェーンをわかち、取引が混合しないために必要なリプレイプロテクションが実装されていない。というか、そもそもこの問題がGithub上で課題として上がったのが21日。

さすがに急を要するのか、この機能を実装した開発者には250BTGの報酬が約束されている(25日までに仕上げれば300BTG)。BTGが無事にフォークして運用開始ができたときにいくらくらいの値がつくのかはわからないけど、Bitcoin Classicを参考値とすると、ざっと700万円くらいにはなる可能性を秘めた報酬。

当然?だが、辛辣な皮肉コメントが付いてる。

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あまりニュアンスをうまく表現できないけど、直訳っぽい感じだとこんな意味。

計画されたフォークの4日前になって、極めて重大な機能への報酬が設定。

大丈夫、悪いことなんて起きないさ。

ちなみに、"What could possibly go wrong?" はこんな感じに使う。

"What are you doing today? "

"Cleaning windows on the World Trade Centre, What could possibly go wrong"

この問題、あまり広まっていないのかなと思ってTwitterも見てみると、声を上げてる人たちは一定数いる模様。

そのとおりだと思う。。

仮想通貨ウォレット、Coinomiがbitcoin.orgの推奨リストから外れてる話

頻繁に取引する仮想通貨は取引所内に置いておくとして、長期保持予定の通貨はウォレット(財布)に移すのが良いとされている。仮想通貨の世界では、取引所がハッキングされたり利用者を騙す可能性があったり、あるいは破産したりというリスクがある。 実際にそうした事件が過去にも起こっているので、大抵の人はウォレットの使用を検討する。

例えば、BitCoinも公式サイト内でいくつかのウォレットを紹介している。(日本語)

ウォレットを選ぶ - ビットコイン

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PCを持たない人も珍しくなくなっているこのご時世では、スマホのウォレットアプリを使う人も多い。仮想通貨を守る核心部分は、秘密鍵を他人から秘匿することに尽きるのだけど、スマホアプリでは開発者がこっそり秘密鍵を収集したり、アプリの不具合を利用してハッカー秘密鍵を入手する可能性もある。 残念ながら、こうした事件も時たま起こる。

透明性

暗号の世界では、暗号化の仕組みを秘密にしておけば安全だという発想はだいぶ昔に廃れてしまった。暗号化の仕組みが秘密だった頃には、例えば第2次大戦でドイツのエニグマという強力な暗号システムを解析するために、アメリカやイギリスと言った連合軍は暗号機や暗号表の入手にとてつもない労力をかけた。(そして最終的に、彼らはエニグマを解読した。ドイツはエニグマを過信していたので、暗号が破られたことになかなか気づかなかった。)

今では、暗号の仕組みを完全に秘匿する代わりに、仕組みがわかっていても解くことがほとんど不可能に近いような暗号を使うようになってきている。 現在よく用いられている公開鍵と秘密鍵の組み合わせによる暗号も、仕組みは誰にでも公開されている。

同じようにソフトウェアの世界でも、ソースコードを隠すより公開した方が、不具合も見つかりやすいし開発者が何か悪巧みをしていないかチェックすることができるため、ソースコードを公開して透明性を高めようという考え方がある。特に仮想通貨の分野ではそういう傾向が強く、大抵のウォレットアプリもソースコードが公開されている。

Coinomi の問題

悪意のある人たちがCoinomiのソースコードをほぼ丸パクリして偽アプリを作り、そうした偽アプリを使ったユーザから仮想通貨を盗んだ。そしてCoinomiの開発者たちは被害者たちからCoinomiが仮想通貨を盗んだというクレームを受けた。(偽アプリのサポートが、Coinomiのサポートのままになっていたそうだ。)

その後、Coinomiの開発陣は、こうした被害を防ぐために敢えて最新のソースコードを公開しないようになった。結果としてCoinomiの透明性は失われ、bitcoin.orgの運営者との間で議論が起こった。

Remove Coinomi wallet from "Choose your Bitcoin wallet" page · Issue #1622 · bitcoin-dot-org/bitcoin.org

最終的には、議論は物別れに終わって、2017年10月現在、Coinomiはbitcoin.orgのリストから外されたままである。(当分復活することはないだろう。)

Coinomiは信頼できるのかどうか

最新版のソースコードが公開されていない以上、Coinomiを使うべきではない。彼らがなんと言おうと、単純にCoinomiの開発陣が暗号鍵をどのように扱うかが保証されない。それはあなたの仮想通貨を、Coinomiが自由にできることを意味する。

Coinomiはイギリスの民間企業が運営しているので、彼らにはユーザのデータをきちんと守ることで得る信用というインセンティブはあるが、その後ユーザを騙して仮想通貨を持ち逃げするインセンティブがないとは言えない。法人であることが信用に足るかという問題は、程度によるだろう。

スマホアプリ系ウォレットは安全なのか

今回の問題とは別に、そもそもスマホアプリとしてのウォレットは、未知の脆弱性などでハッキングされ、暗号鍵を盗まれる危険性が常に存在する。

もちろんスマホアプリで管理するのは便利であるが、大量の資産を管理するには、コールドウォレットと呼ばれる、ハードウェア型やQRコードを紙で管理するといった方法も検討すべきだろう。

808コインへの投資判断、あるいは高利率通貨全般へのメモ

理想

Proof of Stakeの仕組みを備えた仮想通貨は、分散ネットワークに参加する各個人の 持ち分に応じて、ブロック生成などの分前が決まってくる。

これが、あたかも銀行にお金を預けておけば増える利息のように作用するのだけど、そうすると高利率を謳った仮想通貨も出てくる。

例えば、808という仮想通貨がそれ。年808%(複利考慮前)というとてつもない高利。

[ANN] <808% apr> Drop the Bass!! 17%+ eligible after 8.08+ days

PCを1年間つけっぱなしにして、808のネットワークに参加をしているだけで、相当額の808コインを手に入れることができる。 例えば、500USD分の808を購入すると、複利を考慮した場合は以下のように増えていく。

約半年で、もし808の価値が変動しなければ、500USDが11,500USD以上に膨れ上がる計算になっている。(上の計算は8.08日のサイクルを9日で近似計算してるので、実際にはもう少し多い)

現実

1. ピークで掴んでいると、利益は出ていない。

808コインを扱っている取引所としては、Cryptopiaがある。ここは、かなりマイナーな通貨を扱っているのだけど、それだけに仮想通貨の色々と極端な実験場になっているといっても過言ではない。

実際に相場を見てみると、この記事の執筆時点(2017/10/22 11時頃)で0.00000017BTCほどで取引されている。

808/BTC Market - Cryptopia

直近の値動きとしては、8月中旬以降に一時盛り上がりを見せて0.00000082BTCまで上昇し、そこから下降中。ちょうど上のツイートがあった頃に需要が膨らんだのかもしれない。ピーク価格で考えるのはちょっと808には不利だけど、2ヶ月で価格が25%くらいにまで落ち込んでいることがわかる。 それでも、先程のツイートで見るとぎりぎり500USDくらいの価値があるように見える。(2ヶ月後の20%と30%の値がだいたい500USDくらいだろう)

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2. 売りたい人が多く、買いたい人は少ない

次に、現時点でどれくらいの需給があるのかについて。Cryptopiaで買いたい人(緑)と売りたい人(赤)の分布を表示すると以下のようになる。

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画像だとツールチップも出ないのでわかりづらいけど、買い注文の総計が10BTC程度。このうち、大半は1satoshi(=0.00000001)付近での注文になっていて、現実的ではない。 それに比べて、売り注文の10BTC付近はちょうど9月のピーク価格付近になっている。

尚、直近の24時間取引量は2.74BTCでした。この値はニュースなどがあると増えるだろうけど、そっと売り抜けたい場合にはそこそこ気になる指標で、個人的にはかなり低い。 いざ大量の808コインを手に入れて、さて売ろうという時、買い手が見つからない可能性がある。

感想

高利率な通貨はインフレを起こしやすい

ということが言えるのではないかと思う。 ETHもProof of Stakeへ移行すると価格が下がるのではないかと危惧する声があるのと同じ。もちろん通貨の価値は発行枚数だけにはあらず、特に技術的な部分も考慮に入れる必要はあるけど、高利率な通貨では、それ相応のインフレを考慮した方が良い。

マルチ商法に似てる?

bitcointalk.orgの808スレッドでも、このコインにはもっと参入者が必要だという声が多いように見えた。つまり、それは先行投資者が新しいカモを探している構図で、参入者が増える(最初にある程度のコインを買ってくれる)と、先行投資してる人たちが売りやすくなる。

参入者が皆大金を得て家に帰ることができるのは、株などの経済成長とリンクする商品だけであって、現状小さな市場を通じて売買が為されているだけの、実際には何にも使えない通貨は、新規参入者が途絶えた時点で、ババ抜きや椅子取りゲームのような結末になるだろう。

補足

ちなみに、808のソースコードMrEggman/808で、この1年全く開発がされていない。 結構な量のコードがbitcoinから流用されているが、bitcoin側の修正ももちろん取り込まれてはいない。 きちんとソースコードを読めば、脆弱性も見つかるかもしれない。